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無料のおもしろネタ画像『デコじろう』用アイコン02 職人とVTR制作   

法学部 法律学科 3年 冨田 佑



2008年、夏、日本の多くの人々が、北京オリンピックでの日本選手の活躍に心を躍らせていた。きっと、多くの人の心には、月日が経っても、あの夏の記憶として、オリンピックが蘇るだろう。しかし、私は、何十年経っても、毎年8月を迎えるたびに、北京ではなく、多摩の夏を思い出すだろう。そう、私の心は北京ではなく、多摩にあったのだ。

「多摩探検隊」では、昨年8月から9月にかけて、東京は多摩の稲城市名産の「稲城」という品種の梨を題材に、リポート番組を制作した。大学生のリポーターが、JAや農家を訪れ、梨のお話を聞き、梨狩りを体験し、試食する。「稲城」という梨は、生産量が少なく、市場にほとんど出回らないため、「幻の梨」と言われている。番組では、そんな「幻の梨」の魅力や、農家の方の工夫を伝えた。私は、その番組の企画から撮影、編集までの責任者としてディレクターを務めた。

当時の手帳を見ると、撮影日が8月22日で、番組が完成したのが、9月25日とある。撮影から完成まで約1ヶ月。番組の納期が決まっている以上、絶対に完成を遅らせることはできない。ぎらぎらと照りつける太陽の下、ディレクターの私は、取材や編集のために自宅と梨園、大学との往復を繰り返した。番組を完成させることへのプレッシャーから、私は焦っていた。ある日は、朝早くから行われる梨の収穫作業の景色を撮影するために、一人で始発の電車に乗って撮影に出かけた。しかし、季節はずれの雨に降られ、収穫は中止となった。その日、撮影する予定であった映像がなければ、編集ができず、完成させることはできない。結局、その映像は後日撮影することはできたものの、撮影の予定が狂ったことで不安になり、私の心の中の焦燥感は増すばかりであった。

こうして不安と焦りを抱えながら編集を続けてきたが、完成する5日前からは、未熟な私を助けるために、多くの先輩が、私の自宅に泊まりこみ、交代で編集を続けた。大学では先生に叱咤激励(?)を受け、番組は完成した。周りに迷惑を掛け、また支えられ、完成することができた番組だった。

完成から半年が経ち、ゼミ生から頼まれ、他の番組制作やプロジェクトを手伝い、撮影に同行することも増えた。その度ごとに、「自分は何をして貢献できるだろうか」という気持ちを抱き、葛藤する。

「番組制作は、職人技。職人技は、先輩から後輩へと脈々と受け継がれなければいけない」。 この言葉は、私が番組制作をした時にTA(Teaching Assistant)として私を指導してくれたある先輩の言葉だ。先輩は、番組制作で苦しい時、撮影に同行してくれ、優しく、時には厳しく、私を励ましてくれた。まさに、身を粉にして私をサポートしてくれた。私は、ゼミ活動で迷ったとき、この言葉を思い出し、自分を勇気づけ、奮い立たせている。

この春、白い梨の花が満開になる頃、その先輩は卒業し、ゼミからいなくなる。先輩は師匠として、後輩であり弟子である私に職人としての技術を引き継いでくれたことと思う。私は、そんな先輩の財産を受け継ぐことはできただろうか。未熟な私が、立派な先輩として師匠になれるかどうかはわからない。しかし、私がこのゼミにいる限り、立派な職人、先輩になれるよう腕を磨いていきたい。
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by tamatanweb | 2009-04-01 00:00 | 制作日誌